福澤諭吉が「脱亜論」を書いた当時、まさに日本は時代の分水嶺で、もがき苦しんでいた。その「脱亜論」の一三〇年後の意味はどこにあるのか。実は、福澤の「脱亜論」はアジア蔑視ではなく、特別な東アジアとは別の道を歩もうという「別亜論」に過ぎなかった。つまり、現在ではますますその意味が重要になっていることを、本書は詳(つまび)らかにするであろう。閉じた特別なアジアから、開けた普通のアジアと連携し、世界と繋がることが「21世紀の脱亜論」なのである。 日本は特定アジアと文明圏が異なっていること。日本人は特定アジアの人々と人種的にも異なっていること。そして、日本は古代から特定アジアから離れていた時代に、平和で安定した時代を築いていた事実。そんな事実を解き明かすことが、日本の今後の進路の取り方にヒントを与える第一歩になるのである。
【出版社からのコメント(祥伝社)】
日清戦争の前に戻りゆく東アジア。 いま耳傾けるべき、福澤諭吉130年前の警告! 明治十八年(一八八五)に発表された「脱亜論」は、日中朝の三国で手を携(たずさ)えて欧米列強に対峙していこうと考えていた福沢諭吉が、中朝の現状に絶望し、その路線を断念した諦念を表明したものだった。 日本は明治以降一貫して、朝鮮が華(か)夷(い)秩序から脱し、独立するよう多大な労力を払ったが、無駄に終わった。一〇〇年たって今日また、韓国は華夷秩序に回帰しようとしている。もはや日本は「一衣帯水(いちいたいすい)」などという幻想は捨てて、中朝韓以外のアジア諸国と、より以上に紐帯(ちゅうたい)を強め、連携を深めていかなければならない。
21世紀の脱亜論 目次
序章 彼らに別れを告げるとき
中国・韓国から急速に離れる日本人の心
メディアが隠した李(イ)明博(ミョンバク)発言の真実
本当のことに気づき始めた声なき人々
なぜ、いま「脱亜論」なのか
〈反日ファシズム〉に燃えているのは世界で三カ国だけ
〈反日ファシズム〉の原因は「日本」にはない
第一章 新しい「脱亜論」の誕生
台湾映画『KANO』が意味するもの
発表当時は注目されなかった「脱亜論」
李登輝(りとうき)元総統のメッセージ
福澤の「脱亜論」は、アジア蔑視ではなかった
「脱亜論」が掘り出されたのは一九六〇年代以降
中国の冊封体制のもとに里帰りする韓国
中国にとって日本列島は「核心的利益」
民族的に、朝鮮民族、漢民族とは異なる日本人
柳田(やなぎた)國男(くにお)が『海上の道』で示唆(しさ)したこと
海洋民族としての日本人、海洋国家としての日本
日本における「海人(かいじん)」という人々の存在
見直されつつある稲作文化の伝播ルート
なぜ岡本太郎は、沖縄の「御嶽(うたき)」に心打たれたのか
伊勢神宮、出雲大社に感じる日本人のノスタルジア
安倍首相の「新・アジア構想」とは 83
第二章 〈特定アジア〉三カ国と距離を置くべき理由
〈特定アジア〉とは何か
二十一世紀のナチズム
急を告げる中国と北朝鮮の関係
迷走する韓国と行きづまる北朝鮮は表裏一体
反日国家・韓国に見られる共依存という病理
なぜ〈反日ファシズム〉で結束するのか
「華夷秩序」のもとへ戻りたがる韓国
韓国が日本に要求する本当の「謝罪」とは
中国と朝鮮は、今も昔も主従関係にある
「歴史を鑑(かがみ)とする」ということとは
第三章 閉ざされたアジアから、開かれたアジアへ
日台の連帯こそ、東アジアの新基軸
映画『海角七号』が台湾にもたらした変化
台湾と韓国で、対日観が大きく異なる理由
台湾のアイデンティティが向き合う日本
分子生物学、遺伝子学から読み解く日本人の出自
沖縄に巣(す)喰(く)う異常な反日団体
南アジアへの道
第四章 アメリカに依存しない〈新・脱亜〉のあり方
太平洋二分割を米国に提案する中国
米中両国が抱える深刻な内政問題
太平洋における米軍プレゼンスの低下
中国に取り込まれつつある米国の金融資本
「アーミテージ・レポート」に、どう反論するか
日本は第七艦隊をレンタルせよ
崩壊する戦後秩序と日本の復活――あとがきに代えて
〈参考資料〉「脱亜論」原文と現代語訳
参考文献一覧